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愚者の誘惑】

キャラの設定は演者さんの感じた設定でやってくださいな。

 

 

女:


男:

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女:「この世界のどこにも私の居場所はなくなってしまった。私に意識を向ける事すらなくなってしまった。
   なんなんだろう?この感情は...冷えた毛布を羽織っている気分だ。
   こんな風になってどれくらいの時がたったんだろうか?考えるのも面倒になってしまった。」

 

■一人の男が近づいてくる

 

男:「やぁ、こんなところにいたのかい?探す手間が省けたよ。」


女:「だれよあんた?私の知り合いにあんたの名前は無いわよ。」


男:「僕が誰だっていいだろう?それとも気になるかい?」


女:「ふんっ、あんたが誰であろうと私には関係ないわ。興味が無いの帰ってちょうだい。」


男:「おいおい、そんな邪険に扱わないでくれよ。これでも君の為にここに来たんだから。」


女:「私の為にですって?何様のつもりなの?」


男:「ふふ、少しは僕に興味を持ってくれたかな?」


女:「嫌な奴…で?私に何の用なの?こんな辺鄙なところまで来てさ。
  お説教でもしにきたのかしら?」


男:「いやいや、君にそんな事をしたら、僕たち消えちゃうかもしれないじゃないか。
   そんな恐ろしい事できやしないよ。」


女:「ならなんなのよ?」


男:「少し世間話をしようと思ってね、前から君には興味があったんだ。」


女:「私に興味ですって?ふっ、笑っちゃうわね。」


男:「そんなに卑下(ひげ)する必要はないと思うけどね、君はとっても魅力的だ。
   それこそすべての人々を魅了するくらいにはね。」


女:「ほんとに世間話をするつもりなの?」


男:「僕はそのつもりだよ?不満かい?」


女:「いえ、…まぁいいわ。少しなら相手してあげる。」


男:「ありがとう、感謝するよ。」


女:「変な奴ね…。」


男:「さてと、何から話したものかな…そうだ、好きなものってあるかい?」


女:「好きなもの?」


男:「そう!果物だったり、自動車だったり、映画だったり。」


女:「そう…ね、人…かしら。」


男:「人間が好きなのかい?」


女:「いえ、生物としての人間ではなく、一人一人が考え行動する。魂の入った人。」


男:「ふーん、そうなんだ。でも君の近くにその「人」ってのがいないよね?」


女:「ええそうよ、人はもう私に興味を持たない。」


男:「それはどうして?」


女:「みんな生きることに必死で余裕がなくなったのよ。私に興味を持たなくなるくらいにはね。」


男:「それで君は納得できるの?」


女:「しょうがない…ってのは嫌いだけど、仕方ないじゃない?私は必要とされなくなった…ただそれだけよ」


男:「そーだなー、なら必要とされるようになればいいんじゃないのかな?」


女:「無理よ、もう誰も私を認識できない。意識できないの。」


男:「君ほどの存在なら、そんなもの払拭できると思うんだけど?」


女:「あなたは私に何をさせたいの?」


男:「なに、君には元気でいてもらいたいからね、僕自身の為にも。」


女:「結局、あなたのエゴの為に何かをしろって事?」


男:「僕はただ提案をしているだけだよ、君にはそれが可能だけどしようとしない。
   それが僕にとって面白くないんだ。」


女:「別にあなたの為に私はいるわけじゃないわ、あなたの自我を押し付けないで!」


男:「けど、こうは思わないかい?また自分に興味を持ってもらいたい。意識してもらいたい。
   少しもそんな事を考えたことは無いかい?」


女:「・・・・・・・」


男:「少しでいいんだ、行動に移してみないか?
   昔のように人々が君に興味を持つ未来が待っていると思うんだ。」


女:「勝手な事言わないで!私一人の都合でどれだけの人々が…」


男:「大丈夫、世界が終わらない限り人々は生活を営み続けるよ。
   そして、君に縋る(すがる)だろうね」


女:「それでも私は…」


男:「煮え切らないみたいだね…ならこの果実を上げよう。」


女:「なんなのそれ?」


男:「この果実は君の背中を少し後押してくれるのさ」


女:「後押しって、私は何も…」


男:「僕にはわかるんだ、君が様々な考えで葛藤(かっとう)している事を。
   だから、これを君に託す(たくす)。
   口にするかどうかは君次第だ。ほかの誰の意志でもない、君自身の意志でそれを決めるんだ。」


女:「もし私がこれを口にしたら…どうなるの?」


男:「それは僕にもわからない、君が心の奥底で眠っている思いが顕現(けんげん)される。それだけさ。」


女:「……心の奥底で思っている事…」


男:「さて、僕はそろそろお暇(おいとま)させてもらうよ。」


女:「ちょっと待って!あなた名前くらい教えていきなさいよ!」


男:「うーん、名前か…誰が言ったか忘れたが「千の顔を持つ男」なんて呼ばれたことはあるね。」


女:「ちょっと!真面目に答えなさいよ!」


男:「じゃーね、君の未来に幸あれ!」

 

■スキップで離れていく

 

女:「なんだったのよあいつは…それにこの果実…どうしたらいいの?
   私が本当に望む事…それは……。」



男:「ふふっ、彼女あの果実を口にしたみたいだね。
   君の本能のままに行動すればいいんだよ。
   誰もそれを止めやしない。知恵を手に入れる為に人類が口にした果実なんて比にならない。
   それが彼女の口に入った。さーて面白くなってきたかな?」

 

■視聴者に向けて

 

:「君達ならどうする?心の奥にため込んでいる淀み(よどみ)を吐き出す果実があるとすれば…食べてしまうのかな?」

 

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