top of page

オカルトシンドローム#3


          ~黒百合の想い編~

 

 

登場人物

♀:  保科 智子(ほしな ともこ)=学生1年生 オカルト大好き元気っ子 メガネっ子←ここ大事


♀or♂ 柊 薫(ひいらぎ かおる)  =学生1年生 智子とは親友 色々見えちゃう子 


♀:  工藤 香子(くどう きょうこ)=学生3年生 智子と薫の先輩 姉御肌 強がりな子 常識人 

 

♀:  清水 澪(しみず みお) =学生3年生 香子の同級生 モテカワゆるふわガール 今回の依頼者 台詞少な目 

 

※学生=大学でも高校でも中学でもなんでもいいです、学校であれば

 

智子:


薫 :

 

香子:

 

澪 :


-----------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

▼学校の屋上 放課後


■香子に呼び出される智子と薫

 

 

香子「悪いな、呼び出しちゃって」

 

智子「香子さん、こんなところに呼び出してどうしたんです?」

 

香子「この前言ってた相談者を連れてきたんだよ」

 

香子「ほら、挨拶しな」

 

澪 「初めまして、私香子の友達のしみず澪って言います」

 

 

■ペコリと頭を下げる澪

 

 

智子「はじめまして!ほしな智子です!」

 

薫 「ひいらぎ薫です」


香子「ほら、説明してやんな」


澪 「う、うん
    一ヶ月前の事なんだけど
    ある男の子が大きな花束を持って告白してきたの」

 

智子「うわー、モテモテですねー!」

 

香子「まぁ、顔はいいからなー」

 

澪 「顔はってどういう意味よ!」

 

香子「ごめんごめん、話続けなよ」


澪 「もう!でね、そう言ってくれるのはうれしかったんだけど
    私ほかに好きな人がいるからお断りしたのね
    そんな事があって、その男の子ずいぶんと落ち込んでたの
    でも、仕方が無いよね?」


智子「仕方が無いの?」チラッ

 

薫 「知らないよっ!」


澪 「仕方が無かったの!
    で、次の日からなんだけど
    毎朝、私の家の前に黒百合が置かれるようになったの」


薫 「黒百合?」

 

智子「また珍しい花ですね」

 

薫 「たしか…花言葉は『恋』でしたっけ?」


智子「ロマンチックー!」


澪 「そう、黒い百合の花、一輪だけが毎朝置かれるのよ
    なんだか気味が悪いと思ったんだけど
    なにか害がある訳でもないし
    放っておいたんだけど…」

 

智子「だけど?」

 

澪 「その告白してくれた男の子
    告白してくれた次の日に、自宅の部屋で首を吊ってたんだって
    私の友達が教えてくれたの」
   
智子「で、なにがあったんです?」

 

澪 「その…まだ害は無いんだけど…
    その男の子が持ってきてくれた花束が黒百合の花束だったの…」

 

智子「それって…」

 

澪 「君達もそう思うよね…?」


智子「事件ですね!」

 

澪 「え?」


智子「その振られた男の子と黒百合は、どう考えても繋がりがあります!」

 

澪 「やっぱり、そうだよね…」

 

智子「ねぇ、薫!何か心当たりない?」

 

薫 「流石に…何でも知ってるわけじゃないから」


香子「薫でもわからないか」


智子「いつもの嫌な感じはしないの?」


薫 「今のところは…」

 

香子「手詰まりか…」

 

薫 「嫌な感じはしないですけど、嫌な予感はします」


香子「えっ?」

 

薫 「なんていうんだろう、予兆ってやつなのかな」

 

香子「智子、予兆が当たった事は?」

 

 

■首を捻る智子

 

 

智子「うーん、今まで聞いたことが無いですねー」


澪 「え?みんな、何の話してるの?もしかしてマズい事だったりする?」

 

薫 「いえ、まだなんとも…」

 

智子「でも!調べてみる価値はあるよね!」

 

香子「調べるって言っても、どうするつもり?」

 

 

■首をさらに捻る智子

 

 

智子「う~ん、澪さん、何かヒントになるような事ないですか?」

 

澪 「ヒントって言っても…あっ!」

 

香子「お?何かあるのか?」

 

澪 「その友達が言ってたから、告白してきた男の子の住所なら知ってるよ!」

 

智子「おお!それは何か関連がありますよ!!」

 

香子「でもさ、いきなり行って調べさせてくれるのかね?」


智子「行ってみないとわかりません!」キリッ


香子「お、おう」

 

薫 「こうなったら、智子は止まりませんよ…はぁ。」

 

澪 「私は流石に行くとマズそうだから...お願いしてもいいかな?」


智子「まっかせてください!ね?薫!」

 

薫 「あ、はい」


香子「それじゃ!行ってみるか!」


智子「おー!」

 

 

▼次の日 男の子の家前 昼 人通りはあまり無い

 

■インターホン前に3人並んでいる

 

 

香子「ここがその家か…」

 

智子「なんだか普通ですね」

 

香子「話を聞いた限りでは
    まだ四十九日は終わってない筈なんだが」

 


■玄関には忌中(きちゅう)の張り紙が無い

 


香子「普通四十九日が終わるまでは玄関に忌中の張り紙をするはずなんだ」

 

智子「へぇー、知らなかった…」


薫 「…」

 

香子「薫、どうかしたか?」

 

薫 「嫌な感じがします」


香子「やっぱりか…」

 

 

■智子がインターホンを鳴らす

 

●SE:インターホンの音

 

 

智子「すいませーん!」

 

香子「おまっ!!」

 

 

■誰かが出てくる気配が無い

 

 

智子「誰も出てきませんね…」

 


香子「留守なのかな?」

 

智子「あ、あの人に聞いてみよ!」

 

香子「あいつのバイタリティはどっからくるんだ…」

 

薫 「自分もそう思います...」

 

 

■近くを通りかかったおばちゃんに家の事を聞いて帰ってくる智子

 

 

智子「ただいま!あの家の人達
    引っ越しちゃったんですって!」


香子「なるほど、それじゃ人が出てくるわけないわけだ」

 

薫 「でも、たぶん居ますよ」

 

香子「え?引越してるのに人が住んでるわけないじゃないか」

 

薫 「いえ、人じゃないです」

 

智子「もしかして!」

 

薫 「たぶん、その男の子なんじゃないかな?」

 

香子「そんな事ってあるの?」


智子「自縛霊ってやつ?」

 

薫 「たぶん...」

 

香子「たぶんって…確信は持てないの?」

 

薫 「流石にその子が見えてるわけじゃないですから」

 

香子「じゃあ、なんで居るって言えるのさ?」

 

薫 「さっきから見られてるんです

    二階の窓から…」

 

香子&智子「えっ!?」

 

 

■二人して二階の窓を見上げる

 

●SE:不気味な音

 

 

薫 「あまり見ないほうがいいです」

 

香子「そうは言ってもさ…」

 

智子「どこにいるんだろ?」ジロジロ


香子「お前はもう少し薫の言う事を聞いてやれっての!」

 

智子「てへっ!」

 

香子「このまま、ここにいても埒があかないな」

 

薫 「一旦帰りましょうか」

 

香子「そうだね、帰って明日また考えればいいだろ」


智子「了解でーっす!!」

 

 

▼学校 夕暮れ時 薫の教室

 

■香子と智子が薫の机の周りに立っている

 

●SE:ガヤガヤ音

 

 

香子「昨日は何の収穫も無かったね」


薫 「収穫はありました」

 

香子「何かあったっけ?」

 

薫 「まだ彼はあの場所に居るって事です」

 

智子「それってどういうこと?」


薫 「毎朝、黒百合を澪さんの家の前に置いているのは恐らく彼ですよ」

 

香子「それって…」


薫 「でも、それだけなんですよね…」

 

香子「薫にもわからないか…行き詰まりになっちゃったな」

 

智子「もう一度、澪さんに話を聞きに行って見ましょうよ!」

 

香子「ああ悪い、あいつ今日は休んでるんだよ」


薫 「どこか悪いんですか?」

 

香子「さぁ?そこまでは聞いてないけどさ」

 

智子「お見舞いに行きましょう!」

 

香子「え?でもあの子の家知らないよ?」

 

智子「連絡先くらい知ってるでしょ!」

 

香子「そりゃ知ってるけどさ」


智子「早く早く!」

 

香子「しょうがないなー」

 

薫 「すみません、先輩」

 

香子「いやいいよお願いしたのは私の方だしね」

 

 

■電話を掛ける香子

 

●SE:電話のプッシュ音

 

 

香子「あ、澪?今大丈夫?うん、そう、智子が、
    あ、この前一緒に居た子ね、その子がお見舞いに行きたいって言ってるのよ
    うん、そう、うん、うん、わかった、それじゃ、今から行くから
    はいはい、わかった、それじゃ待っててね」

 

 

■電話を終える香子


●SE:電話の終了音

 

 

香子「ふぅ…」

 

薫 「どうでした?」


香子「まぁ、住所は聞いておいたよ」


智子「よしっ!それじゃあ行きましょう!」

 

香子「ちょっと待った!あの子、結構まいってるみたいだからさ
    あんまり刺激しないでやってくれないかな?」

 

智子「はーい!」

 

香子「ほんとに大丈夫かな…」

 

 

■澪の家 澪の部屋


●SE:扉を開ける音

 

 

香子「澪ー、入るよー」

 

澪 「開いてるよー」

 

香子「澪、体の方は大丈夫?」

 

澪 「ありがとう香子、朝よりは大分楽になったよ」

 

薫 「澪先輩、いつから体の調子が悪くなったんですか?」

 

澪 「えっと、今日の朝起きた時からかな」


智子「今日も花は届けられてたんです?」

 

澪 「いえ、今日は無かったみたい
    お母さんがそう言ってたから…」


智子「あれ?どういう事?」

 

香子「他に変わった事ってなかった?」

 

澪 「特に無かったかな?」

 

薫 「澪先輩、失礼します!」

 

 

■部屋から出て行く薫

 

●SE:走る音

 


香子「ちょっと、どこ行くんだよ!」

 

智子「追いかけましょう!」

 

澪 「どうかしたの?」

 

香子「そんなのわかんないよ!」

 

智子「香子先輩!行きますよ!」

 

香子「ああ!わかってるって!」

 

 

●SE:走る音

 

 

澪 「どうしたのかしら?」

 


■澪の家の外

 


薫 「どうして気づかなかったんだろ」


智子「ねぇ薫!どうしたのよ!」

 

薫 「ちょっと学校の図書館に用事ができたんだよ」


智子「図書館?そんなところに行ってどうするのよ!」

 

薫 「黒百合の事を調べる」

 

 

■走っていく薫

 

●SE:走る音

 

 

智子「花の事を?」

 

 

■智子に追いつく香子


●SE:走る音

 

 

香子「はぁはぁ、ちょっと待ちなさいよ」

 

智子「あ、香子先輩!」


香子「説明しなさい」

 

 

■説明する智子

 

 

香子「なるほど、花について調べたいから学校に向かったのね」


智子「みたいです」


香子「薫がそう言うんだ、何か意味があるんだろ?
    私たちも行こう!」

 

智子「はい!」

 


▼学校内 図書館 もう日が落ちている

 

■花について書いてある本をパラパラとめくる薫

 

●SE:ページを捲る音

 


薫 「黒百合、多年草で花期は6月から8月、中部北から北海道などの山間部に群生している
    ちがう、こんな事じゃない…」

 

薫 「...これだ!」

 

 

■図書館に到着する智子と香子

 

 

智子「薫ー!」


薫 「智子、こっち」

 

智子「何か見つかった?」

 

香子「ったく、一言くらい言ってくれたっていいだろ!」

 

薫 「二人ともこれを見て」

 

香子「これって…」


智子「え?なになに?」

 

薫 「恐らく、あの日からずっと...告白する時は違ったんでしょうけど」

 

香子「これが本当なら、、、澪が!」

 

智子「二人で納得してないで私にも教えてよ!」

 

 

■急いで澪に電話を掛ける香子

 

●SE:電話のプッシュ音

 


香子「ダメだ、澪の奴電話に出ない!」

 

智子「えっ?えっ?」

 

薫 「急いで澪さんの家へ戻りましょう!」

 

香子「わかってる!」

 

 

■走っていく薫と香子


●SE:走る音

 


智子「ちょっと!なんなのよ!もう!」

 


▼澪の家 玄関


■インターホンを鳴らす香子


●SE:インターホンの音/連打

 


香子「インターホン押しても誰も出てこないよ!」

 

薫 「玄関の鍵開いてます!」


香子「澪!入るよ!」

 

 

■澪の部屋


●SE:扉を激しく開ける音

 

 

香子「澪!」


薫 「そんな…」

 

 

■そこには天井からぶら下がる澪の姿があった

 

 

香子「なんだよこれ…ふざけんなよ...澪...なんなんだよ!
     さっきまで元気にしてたじゃないか!
     こんなに…簡単に…なんでだよ……」

 

 

■膝から崩れ落ちる香子

 

 

薫 「ごめんなさい、先輩…」

 

 

●SE:パトカーのサイレン音

 

 

薫 「その後、先輩と事情聴取を受けた
    後日に表された、死因は縊死(いし)、即ち、首吊りでの窒息だった
    動機はまだ知られていない
    当然だ、そんなものは無いのだから
    香子先輩はショックで寝込んでいるらしい
    電話口では気丈に振舞っていたが、あんな事があったのだ
    そうなっても仕方が無いだろう」

 


▼学校 昼休み


■薫に真相を聞きにくる智子


●SE:ガヤガヤ音

 


智子「ねぇ?あの時二人は何を知ったの?」


薫 「黒百合の花言葉だよ」

 

智子「花言葉?」


薫 「そう、黒百合の花言葉は恋」

 

智子「え?それって別におかしい話じゃないよね?」


薫 「それだけだったらよかったんだけど

    もう一つの花言葉があったんだ」


智子「もう一つ?」


薫 「そう、もう一つの花言葉は『呪い』」


智子「...え?」

 

薫 「恐らく、澪先輩はあの子に呪い殺されたんだ」

 

智子「そんな事って」


薫 「呪いで人は死ぬんだよ

    丑の刻参りなんかが有名だけど」


智子「でも、自分が先に死んじゃったら復讐になら無いんじゃ…」


薫 「人を呪わば穴二つ

    そういうことなんじゃないかな…」

 

 

 

to be continued

 

bottom of page